2006年12月08日

第54期王座戦五番勝負第4局△山下敬吾棋聖対▲張栩王座 250手完 白中押し勝 2006.12.7








 解説:加藤祐輝五段(日経新聞解説)、武宮正樹九段(NHK BS2『囲碁ジャーナル』)、中野寛也九段(『週刊碁』2006.12.18)
 □この碁はなんといっても左下の黒の生き死にに尽きる。
 □白58の前に白56黒57の交換をすばやくきめたのがさりげないポイント。これは白からいつでも利く権利のようだが、それをほったらかしで単に白58を打つと黒から参考図Aの手段がある。
 □白62のアテに黒63と切り込んで白64からここに出入り65目の決死の大コウが始まった。
 □天下コウであるが、黒は「生きるぞ」という近所コウが無数にある。
 □一方白からはこれといったコウ材がない。
 □だから黒は強気である。黒69では参考図Bとコウを解消する選択もあった。参考図Aでは生ぬるい、と黒は見ている。
 □で、黒71の時、白は白72と打ってコウを解消した。59のところのツギではないのは先々黒の63と61の石が一線のワタリで渡られると白左下隅がコウ(参考図C、黒D-1、白B-2、黒B-1の糞粘りをあらかじめ予防して、白59ツギによるコウ解消よりも手堅い意味がある)になるのを怖れたためだ。
 □ということは、黒71はコウ材になっていないわけである。つまり、黒71では参考図Dと強硬に打って、あくまでコウを続行するしかなかった。
 □黒89(〜99)では参考図Eと下辺の黒を生きるのが普通。
 □ラストチャンスは黒91で参考図F。ここで白が黒の眼つぶしにくるなら、黒101のサガリという奇手があって黒はどうしても生きてしまう。
 □実戦は黒99と下辺を放置して左上に黒が先着するも、下辺に莫大な借金残り。
 □白100〜112で中央〜左上の白模様が巨大に。
 □黒113〜123と荒らしにいく。
 □左上の黒の生きが白からのコウ材になるので白も、早速126と置いて下辺のコウを始める。
 □何と言っても下辺は出入り65目の大きなコウ。白にとっては花見コウだが、黒は負けるわけにはいかない。
 □お互いのコウ材の数が勝負を分ける。黒163は必死のコウ材減らし。生き死に、攻め合いの手数を読んだ上での最善手か。ここでプッツンして参考図G左上隅白との攻め合いに出ても黒負け。
 □白184はコウ材が少なくなってきた白の頑張りである。従って以下参考図Gという収束も考えられた。この図は上辺、下辺ともに生きて黒は不満がない。
 □だから、今度は白が和解案を拒否して白186と上辺にコウ材を立ててコウを続行する。これで黒白ともに「コウ続行⇒コウ材は自分の方が多い⇒コウに勝算アリ」という意図が明らかになった。つまり、黒白いずれかが、コウ材の計算を間違っている!
 □黒199では参考図Hと受けて問題なかった、と加藤P。
 □
 □

 参考図A 白56単コスミ







 アテツギがないとスミの白があっという間に取られ。

 参考図B 黒69でコウを解消する








 これは白が右下を取り、黒が左下を生きるフリ替わり。いい勝負。左下の白の生きが残っている、中央の黒が切れる、など不確定要素があり、黒はこれでは満足しなかった。

 参考図C 白72でコウツギは固いようで、かえって後に左下隅白地への手段を残す








 左下の黒が生きた後、左下隅の白には黒から一線のワタリからのコウにする手がある。

 参考図D 黒71断固コウ続行







 黒71と挑発しても、コウを続けるしか黒は仕方がない。

 参考図E 黒89(以降99までには)は黒生きる一手







 左下黒には、何しろ出入り65目のコウが残っているので早い段階で生きておく一手。そうすれば白もシチョウを今の内に抜く位だろう。そうすれば黒は左上に先着できた。実践は近所コウが多いだろうとタカをくくって後に大事件が起こった。

 参考図F 黒91ラストチャンス







 単に黒91立ちで白全体を狙っている。ここで、白が92と置いて黒の眼を奪いにくれば順に図のように打って101サガリが冷静で、これで白の眼形の関係でコウは白勝てない⇒黒生き。

 参考図G 黒163で攻め合いは黒負け 







 黒163で左上隅の白と攻め合いにいくのはどうしても黒勝てない。

 参考図H 白184なら







 白184としたので、黒185とコウを取った時白186黒八子取り、黒187白四子取りというコウ解消=フリ替わりの可能性もあったのだが、この段階では白が拒否して、コウを続行した。

 参考図H
 
posted by 蔵山車理恵蔵 at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/29160203

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。