2006年11月19日

第54回NHK杯囲碁トーナメント二回戦第15局△瀬戸大樹六段対▲蘇耀国八段 黒1目半勝 2006.11.19OA








 解説:王銘ワン九段
 □左下、白8からは急戦志向。
 □ただし、白30は受け身か?黒31に白32以下38まで序盤から二線を這わされるのはツライ気がする。
 □白40として、黒41の詰めに42と一間に受けるのも黒43のノゾキが見えていていやな感じがするものだが、白はじっとこらえてアマシ戦法で一貫している。
 □黒45〜白50は布石に戻った感じ。盤面で黒が先行するペースは変わらない。
 □黒51では参考図Aと上辺をしっかり生きておけば普通だった。
 □右辺は急場、左辺は大場というわけで、右辺>左辺だったのである。
 □黒51の押さえは白52黒53と先手を取られて白54のハサミツケで左辺が半分ガラガラになっているので疑問だった。
 □もし左辺を打つなら一本四線の押しで相手の意向を打診するのが高等テクニック。参考図Bである。
 □「黒55のケイマも後々の白からの出切りを見られていやな感じ」と王銘ワンP。
 □ただし、黒57のハサミツケから63のコンビネーションが旨く、69から73まで敵にズラリ二線を這わしては黒の模様は一丁前だ。
 □となれば白も74から76が必争点。
 □ここで黒77、79と反発したのが生きた碁の面白い所。参考図Cは白のアマシ作戦の術中にはまるとみたのであろう。この展開は解説の王銘ワンPと同見解だった。なるほどねぇ、それがプロというもんですか。へぇ〜。アマには百年経っても思いつかない発想である。うんうん。
 □白76〜88と思わぬ展開で、コウになる。
 □なお、黒89白90という交換=コウ材の使い方は参考図Dという手段を無くし、ヨセとしても損をしている意味で悪手。
 □(白、既に左辺で得をしている)とすれば、白は必死になって右上のコウを争う必要はないわけで、白はコウを譲っても92で充分と言っている。
 □黒93からの攻めにも白94〜104と素直に受けて悪くない、と見ている。
 □黒105アテからコウを大事にしようとするが、白106といったんは取るが、後は110〜116と譲歩して“柳に風”。
 □黒17、19位の被害なら白120としっかり生きて、これは最早黒のリードは吹っ飛んでいる、らしい。形勢不明か、白悪くない、といったところ。
 □黒121〜白130は権利だが、黒131の備えが必要、ということで中盤戦は黒の後手で終り、白132から白先手のヨセ。
 □白140は厚い手。一路上までいけるが、大事を取った。瀬戸Pは「白良し」と見ている。
 □黒149は逆ヨセ5目(=10目の価値)。
 □白150〜161を先手で決めて、162が待望のハネ(後手10目)。
 □黒165、167は白166、168のピッタリの反撃を喰らい、黒は得をしていない。黒169から白178まで白を脅かすが、中央の黒には欠陥があり、179と一手補強しなければならない。
 □が、黒179は不完全であって、白180からの出切りが成立しては、形勢はっきり白良し、となった。
 □ところが、「形勢(白)良し」となったとたんに“震える”のが碁の面白いところ。
 □勝利を確定したつもりの白186(と黒187の交換)が大悪手。黒189(両先手一目)を黒から決められたことと合わせてここで都合三目の丸損。これではいくら形勢良しといっても、そこはプロ同士の碁、差は僅かだったからこれで逆転である。
 □結果黒1目半良し、だったから186では素朴に195の所に一目抜いておけば白が逆に一目半勝っていたことになる。参考図E。実戦は黒193、195、197を全て先手で利かされて大損をしているのがわかるだろう。
 □ということで、瀬戸Pは“あまし戦法”でこらえて対局を制したせっかくの碁を
肝心の詰めで“窒息”(王銘ワンP談)させ、あたら大魚を逸した。
 
 参考図A 黒51は平凡に右辺受けが急務







 黒51では、右辺の一間受けがぬるいようでも@右上黒地を固めAコスミの両ノゾキで右辺の白を狙っているので先手、白も52と一間トビしている位が相場であろう。そこで、黒は左辺か上辺か、それとも下辺か考えることができる。

 参考図B 黒51は押したかった







 黒51はこうひとつ押して様子を窺いたかった。左辺は実戦51のところと実戦54の白からのハサミツケが見合いになっているので、その前にこのように四線を押して左上隅白の出方を伺うのが高等戦術なのだ。この図は黒の理想形だから、白も引きまでは付き合うだろうが、黒53ツケに白54下受けと付き合ってくれるとは限らない。(パスもあり得る)したがって、黒は51と白52の交換だけで、先手で左辺の黒を強化させたことに満足して、再び急場の右辺に戻ることも考えられた。

 参考図C 黒77受けはつらい







 黒77で右上隅を受けるのが常識的だが、これではせっかく築いた下辺と左辺〜上辺の黒模様が幸便に消され、囲い合い〜荒らし合いとなり、黒が主導権を握った戦いの碁ではなくなり、白のコミがものを言う展開である。だから実戦の黒77はプロなら当然の反発、らしい! すっごいねぇ。

 参考図D 左辺は黒から狙いがあるところ







 今すぐに、というわけではないが左辺は黒から白の目を奪い、左辺の白一団を攻め上げる狙いがあるところ。それを黒89、白90のなにげない交換で無くしてしまったわけだから、このコウ材は黒大悪手だったのである。

 参考図E 白186はヨセの最後の大場左辺ポン抜きで楽勝だった







 白186は中央の両先手(最低一目)を利かしてから左辺の一目をポン抜くのが正しいヨセの手順だった。こうしてみると、実戦の黒186の地点がどちらから打ってもあまり価値のないダメ場に近いことが分かるだろう。ちなみにこの図は白半目勝ち。どこかで白一目損をしているらしいw





posted by 蔵山車理恵蔵 at 15:04| Comment(0) | TrackBack(1) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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