2006年11月16日

第54期王座戦五番勝負第2局△山下敬吾棋聖対▲張栩王座 307手完 白1目半勝 2006.11.16








 解説:結城聡九段(産経新聞解説)
 □黒1〜4は最近の流行。先程の張栩自身の名人戦でも行われている。
 □白5の三間高バサミ以降黒21までは、よくある定石のひとつ。
 □白22が山下の工夫。「初めて見た」と結城P。普通は参考図A
 □黒23の押さえから25のハサミが厳しい。
 □白26〜黒31は黒の低位のワタリ対白の今ひとつしっかりしていない厚みという互いに形の決まらない難しい戦い。
 □ここから白114まで、一手打つ度に打ったほうが良く見えるという一気呵成の「アマチュア受けのする」激戦が続く。
 □まずは、白32ツケが右上の黒の分断を狙った鋭いツケ。ここから戦いは一直線に全局的に進んでいく。参考図Bの黒33でただちに下ハネは上辺の黒と白一群同士の戦いになり、ここでの力関係は白>黒で黒が苦しい。
 □白34でもハネはない、という。参考図C参照。
 □プロ同士の対戦というものは、このようにして険しい戦いの読み(とその形勢判断の悪い方からの回避)を秘めながらぎりぎりの険しい鍔迫り合いを演じつつ、結局は見かけは案外おだやかなところに行き着く。ここの部分でいえば、白32〜44がそれで、一段落の気配である。
 □しかしよく見れば、ここの部分は白黒ともに一息ついたというだけで、完全に生きた、というわけではない。
 □したがって、黒45とひとつ押しておいてから、黒47と一気に上辺の白に攻めかかる。これが21世紀の碁である。普通の20世紀式なら堅実に参考図Dの道を辿る筈なのであるが...。
 □実はこのあたりでは上辺を制した黒が有利というムードが控え室では漂っていたらしい。あくまでそれはムードであって、実際はそうでもなかったことが後になってから判明してくるのだが...。
 □黒が一足飛びに47、49と上辺の白に攻めかかれば、白も気合で上辺は知らんフリをかまして、48、50と逆に右辺の黒に逆襲する。牙をむいた獲物といったところである。
 □白50〜54と右辺で白が治まれば、右上の黒も単独での生きはない。
 □そこで黒55、57と首を出している間に白56、58と連打され、上辺の白が復活するという、アマチュアには「なっ、なんなんだ、これは?!」という一大フリ替わり騒動が起きた。しかしこっれはプロにとっては相場の進行であるらしく、結城Pも想定内のことと見え何も言わない。
 □ただし、黒59の取り切りは必然としても、参考図Eの一見愚形の取りが良く、後のことを考えると天地の差となった。黒の敗着と言って過言ではない、らしい。
 □白62、64といったん出口を塞がれると黒65の備えが必要で、とするとこれなら59は一路上にあるほうがよい理屈(白二子のダメを詰め、又白30の一路上からの刺し込みも無い)である。
 □こうして先手を得た白が打った66がやたら評判が良かった。右辺の生きている白石に更に一手かけて鈍重なようだが、「白の右辺を盛り上げつつ、中央の白の薄みを補い、しかも実は右上の黒の出口を封鎖する手(=白74で後に実現)を狙っていて極めて厚い一着なのだそうである」。黒59が敗着ならば、白66のこの手を勝着と呼んでもいい位だと後から言われた。なるほろねぇ。
 □実際、白22ハサミから上辺〜右辺〜中央と拡大していった戦いは、この直後黒67〜73と上辺の黒の中央突破を計ったものの、白74のカケがくると右上の黒は中央への出口が止まっていて、75、77という屈辱の後手生きを計らねばならない。
 □更に上辺も黒81と手を戻している間に、左辺の白は84、88と寛ぐ始末。
 □黒は91、93から97〜101と決死の猛攻を左上の白にかけるが、白102の緩みから114が絵に描いたような鮮やかなシノギでアッサリ生きてしまえば黒有利説は吹っ飛び、にわかに形勢不明、いや白形勢有利説まで出てくる次第。
 □焦ったのか、黒、右下117から白132が評判が最悪。黒の敗勢が明らかになってくる。
 □黒133などと後出しの細工は通用せず、白134のハネまで決められると、黒は上辺と右辺がカラミ攻めになっている。
 □結局黒145に手が戻り、白146のカケを先手で決められては、右辺の白と黒の力関係は圧倒的に白有利。
 □勢いをそのままに、白はその後も押し切って勝利した。

 参考図A 白22は普通は押し







 このような進行になれば常識的。

 参考図B 黒33でただちに下ハネはない







 白40まで、上辺の白の一群は形は不安定ではあるが、力関係で辺に閉じ込められた黒の一群よりは強いという。(無論、「プロなら一目」というレベルの話であって、あおきレベルだと「黒が玉砕覚悟で必死の形相でハザマを割ってくればどうなるんだい?」という自然な質問にもう答えられないんであるけれども...orz)

 参考図C 白34でハネはない







 白34ハネは白の一子が取られて上辺の黒とも連絡してしまう(低位ではあるが)ので黒満足だという。まあ、このあたりの形勢判断はプロの対局だけに、微妙でアマチュアには容易に結論がでない、難解なもんですよね。数字にしても数目の差でしかないというし。

 参考図D 実戦の黒47は飛躍。普通はこのように堅実に







 実戦の黒47は飛躍した発想。普通ならこのよう(黒47、49)に順を追って安全を確かめながら二手かけてノゾクのが堅実だとされる。しかし、二手かけた、ということは石の重複でもあるわけで、それならば上辺は軽く見て(とりあえずは死んだフリをしておいて)、白50と右辺の黒一団に「まだ生きていませんよ」と攻めかかろう、というのが現代流の険しい碁の流れというものであるらしい。ふ〜ん。ついていけないや。

 参考図E 黒59は愚形が優った







 結果論であるが、黒59の白二子取りではこの愚形が優った。というのは後に実現するように、白から白30の一路上の刺し込みから黒の種石黒7、11の二子が取られるという大事件が起こったからである。





 
posted by 蔵山車理恵蔵 at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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