2006年11月13日

第32期天元戦五番勝負第2局△河野臨天元対▲山下敬吾棋聖 157手完 黒中押し勝 2006.11.13








 解説:王銘ワン九段
 □黒7では上辺との関係で、こうナダレてみたくなるもの。以下13まで簡明な分かれ。
 □白14の大ケイマガカリに黒15コスミは「山下らしくない」と立会い人の林海峰名誉天元。参考図Aなら「山下らしい?」
 □黒17のいっぱいの詰めはこの一手。
 □白18が頑張った手。参考図Bならおだやかな分かれだが、この碁では序盤は黒おとなしく、白が意欲的。
 □白22で参考図Cとツギたいが、参考図Dがあって白が参っている。だから白22〜32はやや白が譲歩した気味がある。
 □黒33もバランスを重んじた一手。王銘ワン九段は「僕なら右下星にいっぱいにカカルけどなあ」と。
 □白34は急所の打ち込み=攻めだが、黒35に隅を受けなければならないのが辛い。白手抜きは参考図E。
 □黒39はワタリを見て案外“シャニコイ”攻めだ。参考図Fなら、激しいようでも生き生きとなって案外おだやかな分かれになる。
 □白40では参考図Gが穏当なライン。しかし、この図は受身一方で河野天元の意にそまなかったか?
 □実戦は白40押さえ〜48と白が高圧的に出る。
 □白50に黒51は気合。
 □以下白52から76は必然、天下コウだ。ただし、黒69と下辺へ向かって仕掛けたコウは参考図Hと上辺に向かってやるのもあって悩ましい。
 □白78では下辺を1回受けることも可能だが、黒83に白84と受けねばならず(白84でコウを取りきるのは、黒85と白一子を抱えられた図が実戦の黒77、79のハネよりも白ひどい)、すると白にはもうコウ材がなく、左辺の天下コウは黒が勝つことになる。この代償は左上の黒二子で、黒は下辺のシチョウにも手が回ることになる。この展開は、白面白くない。参考図J。
 □というわけで、コウは白取り、左下隅は黒地という分かれになった。
 □ここで形勢判断をする。左辺の天下コウは出入り50目は下らない。左下隅は出入り30目強と、この交換は白が得をしたようにみえる(確かに数字的にはそのとおりなのだが)が、コウにいたるその前からのいきさつ、及び左辺を打ち抜いた白の上下は黒がしっかりと生きていて、この模様が存外厚みとして働かないという点で、白もイマイチであるらしい。
 □しかも、この後白は80〜92と下辺と右下隅を別々に生きねばならなくなり、黒は先手先手と立ち回っていつのまにか右辺に黒の大きな地模様ができてしまったことから、(結果論ではあるが)この左辺の大コウも、白有利な結果にはいたらなかったようだ。
 □白94は形勢不利を自覚した白の勝負手。もうひとつ中央寄りの浅い消しなら安全だが、それでは足りない、と見た。
 □黒95〜115は華麗な戦い。
 □白もなんとかシノいだものの、黒105と右辺を一気通貫の地にしては勝負はあった。
 □黒155は勝利宣言。黒が盤面20目は良い。
 
 参考図A 山下なら黒15







 と誰しも思ったが、本人(山下)は「(最近の僕は地に)カライです」

 参考図B 白18もっともおだやか







 こうなれば右上と左辺を双方囲って、黒も満足。

 参考図C 白22ツギ







 こうなれば、白旨いが、それは白の一人相撲。

 参考図D 白24ツギには黒対策アリ







 黒25のコスミが巧く、白まいっている。

 参考図E 白36では沿い上げたいが








 黒35ハネには手を抜いて白36で沿い上げ左辺の白を盛り上げたいが、黒43から45の出切りに白は抵抗できない。こうなっても、左下の白は黒からハサミツケのコウ残りなので白50が省けず、黒51抜きと替わって、黒全局的にバカ厚くなり、こうなれば、白に勝ち目はない。

 参考図F 黒39ハネは存外







 黒39ハネは激しいようだが、存外穏やかな分かれになる。これで黒悪いわけではないのだろうが。

 参考図G 白40おだやかだが







 白40では中央に向かってのトビが相場なのかもしれない。黒も存外薄いし、ワタリは辛いような気がしなくもないが...。河野Pには白がぬるくみえるのか?

 参考図H 黒69のコウは後のことを考える(白の取り番の天下コウ)とこちらのコウのほうが黒得なのだが







 このように白が一発でコウを解消すれば黒は取られた外側が左上の黒地に関連していて得なのだが、このコウは意外に複雑なコウ(黒85の出のコウ材に白は1回受ける余裕がある)なので、より簡明な実戦の進行=下辺側のコウを黒は選んだようだ。

 参考図J 白78コウ材に受けると...







 コウは黒勝ち。白の得たものは左上の黒二子だけで、左下の抱えも黒に回る。この展開は白面白くない。









posted by 蔵山車理恵蔵 at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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