2006年11月02日

第31期名人戦七番勝負第6局 △高尾紳路本因坊対▲張栩名人 275手完 白3目半勝2006.11.2-3 名古屋








 解説:大竹英雄名誉碁聖(NHK BS-2)
 □黒1〜白4は第2局と全く同じ布石。そして黒5は同じ左上のカカリでも高いカカリだった。参考図Aがそれである。それを黒から避けた、ということは高ガカリ以降の第2局の黒の序盤構想は失敗だったと、張は認めているということか?
 □とすれば布石構想では第4局まですべて高尾がリードしており、実質高尾の4勝2敗だというあおきの説は信憑性を増してくる。第5局が高尾の完勝だったことをさしひいても、このシリーズの流れはまだ高尾の側にある。
 □黒9は控え室の発想にはなかった手。常識的には黒9は左下白のハサミ(6通りあるが)か、左上の開き(二間と三間がある)。
 □とまれ、黒9がこの碁の骨格を決定する。
 □以下、白10〜22までこの二人、今回の名人戦にはそぐわないおだやかな布石である。
 □黒23の肩ツキは韓国流。参考図Bが黒の理想。
 □だから白も24〜30と反発する。案外落ち着いた形で治まった。
 □黒31、33のニ線の後手ハネツギはしぶい。参考図C参照。
 □従って白34の一間も上記に対応したシブい受け。
 □黒35、白36、黒37と意地の大場。
 □黒39、41とまたまたシブいハネツギ。
 □白42は立会い人の羽根泰正九段(中部本人所属。元・王座)が言いかけて「いや、無理か」と撤回したという手。「対局者が一番良く読んでいる」とはよく言われる言葉であるが、このシリーズはことにその観が強い。
 □黒55に対し、白その一間右に受けたいが、そうすれば幸便に参考図Dが先手になる。
 □左辺は黒59〜64とコウになったが、黒65〜69の圧迫が不気味で、黒コウは譲っても下辺を79、81と連打すれば面目は立っている。
 □黒83〜93と危なげなく下辺を割った分、黒リードかな?
 □白94が封じ手。
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 参考図A 黒5高ガカリ以下が第2局の張の序盤構想だった






 これは黒石が左辺に偏していて、しかも効率が悪いというのが結果論として出てくる。 

 参考図B 黒23は韓国流






 こうなれば、黒中央が厚く、左上も安定して理想的。

 参考図C 黒31、33ハネツギ






 ここは部分的にはニ線にサガリからの一線ハネツギが両先手4目だが、黒からはあえて後手を引いても先の狙いを秘めている。例えば白34と盤中最大の大場である上辺の開き(双方からの詰めが30目をはるかに越える価値がある)を打てば黒35〜39がこれまた後手ながら白の右下隅を荒らしてデカいし、右辺の黒が立派に二眼をもって生きた意味も無視できない。(実戦では白34と上記の狙いに備えて右下に白が手を入れたため、後に白56の厚いボーシに黒57と右辺の黒石は生きなければならなくなった)更にその後、黒が左上の詰め(盤中最大、30目)に回れば下辺白からのいっぱいの詰めで右下の白石の一団はにわかに影が薄くなる。まあ、この展開で白が悪い、というわけでもないのだが、碁は細かいながらも黒が先着の効を保持し、闘いの主導権は握っているとはいえるのである。

 参考図D 白56で一間トビ






 白56ではつい中央へトビ出すことを考えるものだが、このように黒から中央を連打されると下辺も守らねばならず、白56の値打ちが下がることになる。だから実戦の白58のようなところは双方の模様の接点という意味があり大きいのだ。








posted by 蔵山車理恵蔵 at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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