2006年10月03日

第15期竜星戦決勝 △張栩名人対▲結城聡竜星 174手完 白中押し勝 








 解説:小林覚九段
 □黒5まで前期決勝戦のこの二人の対局とまったく同じ進行である、という。その時張は白6で右下隅の黒に一間高ガカリで対抗したらしい。おやおや、それじゃ、つい先日の名人戦第3局と同じ進行じゃないか。ということは、このあたりの布石は張栩にとっておなじみの研究済みということであり、白6はこの一間も、名人戦の進行も両方アリ、という結論なのね、ふ〜ん。まあ、こんな序盤から必勝形が出るとも思えないから、その場の気分ということなのか。ここでの戦いが白42で一段落するまで、結城が考慮時間(竜星戦はNHK方式で一手30秒+1分10回)を5分使っているのに対し、張は1回のみ。
 □ただし、黒57のシマリを打たれては張は「参考図Aと打つべきだった」と悔やんでいた。たしかに黒57とあまし戦法を取られては張のお株を取られた形で気分的に面白くなかったのだろう。しかし、一般的に実戦の白56の点が双方の模様の伸長に関わる第一級の急場であることにかわりはない。
 □白56、58と包囲網を敷かれては、黒59、61の辛抱はしかたがない。
 □恭順の意そ示すそんな黒に対して、白は62のノゾキから戦いを挑む。「しかし、ここは参考図Bが優った」と小林覚九段。なるほど、そうなれば実戦とは雲泥の差だ。(まあ、張のことだから、それでもどこかで反発してくるだろうけれど。このあたり、往年の張じゃない趙治勲と似ているw)
 □実戦は白62〜87までで上辺の競り合いは一段落。このワカレに対する判断は棋風によって真っ二つに分かれた。結城と小林が「白62と白から仕掛けたのにもかかわらず黒79、81と黒に主導権が渡った重視⇒黒有利説」。一方張は「白76までと先手で実利を稼げた⇒白有利説」とそれぞれ自説を譲らない。が、小林Pが加担した白有利説にあおきは1000ペソ。
 □白88、さらには100と中央に手を戻したのは、そんな張の自信の表れ。自らの左辺の白石もまだ生きてはいないが、黒の攻めでそれをかわし、その調子で右辺の黒模様になだれ込むとともに、左方の黒への攻めも狙っており、張らしい張りつめた含みの多い一手。
 □黒107もこれまた形勢良し、と見ている結城の自重の一手だが、固過ぎたきらいもある。
 □白108、110が実利を稼ぎながら黒の根拠を奪った大きい手。なぜなら左辺からの黒の大石には参考図Cの分断策があって大石がとられてしまうのである。
 □それで上記の切断にそなえて黒115、117とコウ含みで頑張ろうとしたのだが、白122のツケ以下には抵抗するすべがなく、ずるずると右辺をやぶられてしまっては黒は最早勝ち目はない。

 参考図A 黒56の別案






 張はこのように白56で右下へなだれこんで黒59(実戦の白56)の要点(両ゲイマであり、模様の焦点でもある)は黒に先着されても、白60、62で地をとって中央の白は簡単に治まると反省していた。地に辛い“韋駄天”張らしい意見ではある。

 参考図B 白62よりきつい攻め






 この図は封鎖された黒が死ぬわけではないが、手を抜いては白からの地を稼ぎながらの厳しい攻めで黒は目ふたつにされる(俗にいう“雪だるま”となり、これは負け形)し、何より実戦のように黒79と脱出されながら白が二分された形と違い、外側の白が猛烈に厚いのである。

 参考図C 白には強行な黒の分断策がある!






 白108、110に続き112、114と左辺の黒の眼を取られてみると、黒は115でこのように右辺を囲いたいのだが、そうすると白116から122の非常手段があって左辺がちぎれてしまう。









posted by 蔵山車理恵蔵 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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