□黒7はその一路上の8-Dの大々ケイマカカリがかつて1970年代に小西和子が所属する関西棋院で流行していた。今はすたれたのであろうか?白36までおだやかなすべり出し。
□黒37の消しに対し白9-Dのケイマが第一感だが、小林は先手を奪うため白38のコスミツケでがんばる。しかし黒47まで左上隅が固まれば黒は後手でも注文が通った格好。
□上辺をさらに広げられては苦しくなるので、白48,50のツケヒキは逃せぬところ。左方の黒一団は堅いのでさらに固めても惜しくない、という判断。白17-Hの切りは現段階では黒17-Gアテ白18-Hノビ黒18-Jサガリからまくって攻めあいは黒勝ち。しかし味が悪いのは確かで、後に(白96ツギがきた時)ここが勝負のあやとなる。
□黒53ツケからの右下隅白模様への打ち込みは黒67まで双方いっぱいのつばぜりあい。
□白70には12-Qのナラビで一手かけるのが本手だが、小西は黒71一本で間に合わせ(つまり黒はここに借金残り)、黒73と下辺に突入。
□白は76から82と黒の形を崩しながら自陣を補強し白84のサガリにまわっては好調な展開。黒は87と一手かけてもまだ根無し草。白に寄り付きを狙われている。
□白88のブツカリが疑問。単に白90なら、後で12-Qの出切りが成立するので手厚い。実利でも5目違った。ここで黒わずかにリード。
□白96のツギが実利と厚みの双方でばかでかい。対する黒99のトビは黒を補強しながら白の薄みを狙った手だが、ここでは18-Kのコスミで白124の切りを防いだほうがまさった。つまり白96と黒99の交換がこの一局の勝敗を左右したことになる。
□というのは白はまず白104〜116で先手で上辺の白地を補強、更に白118〜黒123と準備工作をした上でしろ124の切りを決行、白128まで黒一子をかかえては形勢はフリダシに戻った。
□黒129、白130、黒131と互いに一歩もひかない強手の応酬だが白134からの出切りに黒139とここに黒一手をかけなければならないようでは中央の戦いは白優勢、白156と3子を抜いては白の勝利が確定した。
□蛇足だが黒201トビに白202ツケは負ければ敗着となる一手。黒203では黒18-Kハネダシが成立した。白19-Jと遮るのは黒18-Lで黒17-Kツギと黒17-Mの出が見合いとなり、どうしても白地を破った黒は左上墨か中央の黒と連絡を果してしまうのだから怖かった。