2006年12月24日

第54回NHK杯三回戦第4局 △結城聡九段対▲河野臨天元 194手完 白中押し勝








 解説:倉橋正行九段
 □左下で戦いが始まり、右下に白6、8と利かして、10と戻る。
 □黒13の時、参考図Aは部分的には定石であるが、総体的にみると白が下辺に偏していてよくないそうである。ふ〜ん、そうなのか。碁って、むつかしいなぁ。
 □確かに黒16は機敏で“良さげ”な手である。解説の倉橋Pも早い段階で黒16に言及していたから、これは「プロなら一目」の急所なのだろう。仮に参考図Cのような(形にとらわれたフツーの)展開になれば白はアウトである。
 □左下は黒27で部分的には一段落。途中、黒23は上からアテたいが、それは参考図Dで無理。
 □ここで先手を得た白28は上辺星、盤中唯一ともいうべき絶好点である。
 □気になるのは右下にカカリっぱなしの三石であるが、白は利かしとみて放置している。参考図D、F参照。
 □それで黒は29と左上に転戦した。
 □結果論だが、黒29〜白106と上辺一帯でのっぴきならない戦いが続き、それが一段落した時、上辺のコウの代償に左下の黒の底が抜けていた。そこで黒107と黒は下辺の生きを計り、白は108と上記の、<かねて念願の>二立三析の開き詰めに回ることが出来た。
 □つまり、28といい、108といい、白は一局の碁のターニングポイントとなる局面で盤中唯一無比の大場、急所を占めることになった訳である。
 □つまり、白28からの<あまし戦法>が効を奏したわけで、手止まりの急所108を白が占めてはこの碁は白の作戦勝ちということになる。
 □で、黒29に戻って白30以下も倉橋Pの予想がピシピシ当たる。
 □要するに左辺は左下の白模様が裾アキのところで黒も白もともに行きたくない場所であるらしい。なるほど。
 □で、参考図G、Hのような図はありえないのだそうだ。
 □それで、黒35、37と軽サバをこころがける。
 □それで白は38、42と上辺に模様を張る。
 □黒43打ち込みには44のボーシ(軽快)から46〜56と隅にもぐりこむ。
 □黒57〜63で左上も荒らされたが、64、70、72のケイマケイマが快感。
 □黒73〜79の抵抗には白80ノゾキが強烈。
 □以下黒97まで天下コウ。
 □でコウの代償に白は左下隅を復活、二分された黒は左右どちらかが死ぬ。
 □それで黒107と下辺だけでも生きを計るが、白も108の開き詰めがまさに、<この一手>で、以下もつれているようだが、序盤で下辺を手抜きして上辺28に先着した<あまし戦法>が奏功して「白に負けなし」の図になっている。

 参考図A 白16定石だが







 この図は左下に関してはよく見かけた定石である。そして白16と模様をまとめて左右を一手で打ち切って“でかしている”ようだが、そうではない、という。全体的に白石が下辺に偏っていてよくないらしい。う〜む、碁ってむつかしいな。
 そういえば、参考図Bも白悪いと言われえたことがあるなぁ。

 参考図B 模様は囲うな







 これは黒の上辺に白が打ち込み、左右同型中央に手を入れた図で、1970年代に一時よく打たれた気もするが、やはり白が良くないということになったように思う。まぁ、ハネツギを全部受けるとなると、白16中央の一手が無駄とはいえるがねぇ。
 要するに、白16と高く囲った白は黒から手がある=地ではない、ということだ。かといって白16を三線に低く構えるのもボーシがピッタリでどうもなぁ、といったところか。
 ちなみに、こうなると、盤面十目黒が良い。

 参考図C 黒17ソッポ







 黒17などと隅にこだわっているとどんどん手抜きされて大局を失う。この図は黒70目負けw

 参考図D 黒23で上アテは無理







 黒23で上アテは逆に黒がつぶれる。

 参考図E 白28下辺二立三析は常識的だが







  白28と下辺に一手入れて二立三析で安定させるのは常識的だが、右下、左下で白黒互角とするならば、上辺左右の星(これまた互角)から先手を得て中央の星を占める利は地換算で最低15目でコミの6目半をはるかにオーバーして先着の利あまりある成果だろう。この図は黒良し、であるは言うを待たない。
 それに参考図Eとなっても、

 参考図F 黒29右下の白を攻めても







 黒29と攻めようとしても、仮に白30くらいで白は楽生きである。そうすると攻めたつもりの黒29以下が本体の左下から飛び出しすぎていて反撃を食らうおそれがあるので手入れが必要で、またまた後手を引くことにもなりかねない。
 また白30で下辺をもう一手手抜きしても黒からは急な攻めは見当たらないというのが白の軽い所以である。

 参考図G 白30で左辺を大事にすると黒に左上で威張られて元も子もない







 これでは左辺で生きているところに少々地を増やしても「屋上の屋」だし、白の宝だった上辺、左上はがらっがらになる。

 参考図H 黒35は軽サバ







 黒が左辺に10目ばかりの地を欲しがると、白には百目の地ができてとても引き合わない。








posted by 蔵山車理恵蔵 at 15:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

第54回NHK杯戦3回戦第2局△小林覚九段対▲王立誠九段








 解説:片岡聡九段
 □黒9〜17、白二線に石が4つ来てやや辛い。
 □白18と下辺を安定させる。
 □黒19は白19との差で、根拠に関して厚い手。しかも白22まで先手だ。
 □黒23と意欲的。
 □白24、26にも黒27ツケと積極的に立ち働く。これは参考図Aを避けた。
 □白28、黒29、白30いずれも気合。
 □黒35は参考図Bを嫌った。
 □黒37は白38と手をかけさせても(右下隅の黒はワタリはなくなったが、手残り=後に黒61で実現)先手で、黒39と双方の根拠の急所に挟んで白を攻め上げては好調。
 □その後も、黒41カケ〜白60と中央へ頭を出していく。
 □そして一転、黒61に戻る。以下69まで右下隅黒は余裕の生き。
 □白70ツケ〜黒77は相場と見た。
 □白78、黒79、白80と布石に戻った。
 □黒81は落ち着いた一着だが、白にゆとりを与えた。参考図Cと厳しく打ったほうが白に余裕を与えなかっただろう。
 □黒81と緩んだので、白82、84が強烈。
 □黒85とトんだが、白86とおさまっては白も一息。
 □黒87〜89は強情。参考図Dは黒戦える、と見ている。
 □そんな黒の強気が通り、白90〜黒99となれば黒も一丁前。
 □白100と地を稼いでバランスを保ち、更に102、104と上辺を固めて密かに上辺の黒を狙う。
 □ところが黒はちゃっかり107と地を確保して、上辺は手抜きして「攻めてみろ」と居直っている。
 □白112と出るが、黒も113とカケて下辺の白との攻め合い、力勝負を挑む。
 □このあたりで形勢判断をしてみようか?まずは参考図Eを見ていただきたい。
 □これは黒は、左した隅〜左上20目(マイナス白からの切断の味)+中央6目+右下8目(マイナスコウ味)+上辺0目(マイナス攻め味)+右辺0目(マイナスコウ味)=計黒34目(プラスマイナスもろもろの攻め味、コウ味)。白は、左辺4目+右辺7目(プラスコウ味)+中央3目(ただし現在一眼しかないのでマイナス攻め味)+左上半目(プラス上辺黒の攻め味)+上辺11目半(プラス上辺黒の攻め味+右辺のコウ味)+アゲハマ1目+コミ6目半=計白33目半。したがって、ころころの攻め味、コウを別にすれば黒半目良し、という際どい状勢。
 □ところが、手番は次が白ということからすると、おいおい、がんばれば白悪くない、ということかい?
 □つまり、これは死活がらみの極細のヨセ勝負という、ヒジョーに微妙な玄人っぽい展開か?
 □ここで白が打った114、116が逆ヨセっぽい渋い手。左辺黒の切り味をかすかに狙い中央白の眼形の足しにもしている。参考図Fあり。
 □対して黒123はあからさまな(素人っぽい、ともいえる)地の手で逆ヨセ3目位かしら?
 □しかし、この白=虚、黒=実の交換が曖昧だった形勢をはっきり黒良しとした気配がある。
 □その後、白128〜130と黒を分断する構えを見せたが、黒131が黒の巧手で、白134と頑張ってはみたものの黒135、137と抱えられると中央の力関係ははっきり黒>白ということがあからさまになってしまった。白134では参考図Gがやむをえないが、これでも黒悪くない(黒半目良しbyあおきひとし)だろう、という。
 □実戦は白134とつっぱったため、黒139、141の強打を招き、白154、155と切り結んだものの、中央の白が生きていないため白156(もしくは下辺での目持ち)がやむをえない。
 □そこで157と中央の白の種石四子を取られては碁は終わった。
 □先番黒が先着の利を生かして主導権を握った展開だったが、中盤81の一着が甘く、碁はもつれた。
 □その後細かいヨセ勝負になったが、大ヨセの大事な局面で白は下辺で厚がった緩着を放って碁を険しくし、更に中央で128、130と勝負手をかけたが黒に131と冷静に咎められると一度は134と踏ん張ってはみたものの、もちこたえることはできず、最後は土俵を割った。
 □167手完 黒中押し勝ち

 参考図A 黒27でヒキは







 白から28と二間に詰められて黒受けようがない

 参考図B 黒35ヒキ







 黒35でノビは白二子を取れるが、右下隅が白地となる。

 参考図C 黒81厳しいツケ







 これは黒うまく行き過ぎだが、まああり得る図ではある。

 参考図D 白90押さえからの左上隅での戦いは黒歓迎







 この戦いは黒やれる、と主張している。

 参考図E 黒113で形勢判断







 黒は、左した隅〜左上20目(マイナス白からの切断の味)+中央6目+右下8目(マイナスコウ味)+上辺0目(マイナス攻め味)+右辺0目(マイナスコウ味)=計黒34目(プラスマイナスもろもろの攻め味、コウ味)。白は、左辺4目+右辺7目(プラスコウ味)+中央3目(ただし現在一眼しかないのでマイナス攻め味)+左上半目(プラス上辺黒の攻め味)+上辺11目半(プラス上辺黒の攻め味+右辺のコウ味)+コミ6目半+アゲハマ1目=計白34目半。したがって、ころころの攻め味、コウを別にすれば黒半目良し、という際どい状勢。

 参考図F 白124では二眼つくることもできた







 いざという時にはこのように中央の白が下辺にもう一眼作る余地があるので、124〜127は先手でも保留する、という考え方もあった。

 参考図G 白134妥協







 う〜ん、黒半目良しだなw









 
posted by 蔵山車理恵蔵 at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

第54期王座戦五番勝負第4局△山下敬吾棋聖対▲張栩王座 250手完 白中押し勝 2006.12.7








 解説:加藤祐輝五段(日経新聞解説)、武宮正樹九段(NHK BS2『囲碁ジャーナル』)、中野寛也九段(『週刊碁』2006.12.18)
 □この碁はなんといっても左下の黒の生き死にに尽きる。
 □白58の前に白56黒57の交換をすばやくきめたのがさりげないポイント。これは白からいつでも利く権利のようだが、それをほったらかしで単に白58を打つと黒から参考図Aの手段がある。
 □白62のアテに黒63と切り込んで白64からここに出入り65目の決死の大コウが始まった。
 □天下コウであるが、黒は「生きるぞ」という近所コウが無数にある。
 □一方白からはこれといったコウ材がない。
 □だから黒は強気である。黒69では参考図Bとコウを解消する選択もあった。参考図Aでは生ぬるい、と黒は見ている。
 □で、黒71の時、白は白72と打ってコウを解消した。59のところのツギではないのは先々黒の63と61の石が一線のワタリで渡られると白左下隅がコウ(参考図C、黒D-1、白B-2、黒B-1の糞粘りをあらかじめ予防して、白59ツギによるコウ解消よりも手堅い意味がある)になるのを怖れたためだ。
 □ということは、黒71はコウ材になっていないわけである。つまり、黒71では参考図Dと強硬に打って、あくまでコウを続行するしかなかった。
 □黒89(〜99)では参考図Eと下辺の黒を生きるのが普通。
 □ラストチャンスは黒91で参考図F。ここで白が黒の眼つぶしにくるなら、黒101のサガリという奇手があって黒はどうしても生きてしまう。
 □実戦は黒99と下辺を放置して左上に黒が先着するも、下辺に莫大な借金残り。
 □白100〜112で中央〜左上の白模様が巨大に。
 □黒113〜123と荒らしにいく。
 □左上の黒の生きが白からのコウ材になるので白も、早速126と置いて下辺のコウを始める。
 □何と言っても下辺は出入り65目の大きなコウ。白にとっては花見コウだが、黒は負けるわけにはいかない。
 □お互いのコウ材の数が勝負を分ける。黒163は必死のコウ材減らし。生き死に、攻め合いの手数を読んだ上での最善手か。ここでプッツンして参考図G左上隅白との攻め合いに出ても黒負け。
 □白184はコウ材が少なくなってきた白の頑張りである。従って以下参考図Gという収束も考えられた。この図は上辺、下辺ともに生きて黒は不満がない。
 □だから、今度は白が和解案を拒否して白186と上辺にコウ材を立ててコウを続行する。これで黒白ともに「コウ続行⇒コウ材は自分の方が多い⇒コウに勝算アリ」という意図が明らかになった。つまり、黒白いずれかが、コウ材の計算を間違っている!
 □黒199では参考図Hと受けて問題なかった、と加藤P。
 □
 □

 参考図A 白56単コスミ







 アテツギがないとスミの白があっという間に取られ。

 参考図B 黒69でコウを解消する








 これは白が右下を取り、黒が左下を生きるフリ替わり。いい勝負。左下の白の生きが残っている、中央の黒が切れる、など不確定要素があり、黒はこれでは満足しなかった。

 参考図C 白72でコウツギは固いようで、かえって後に左下隅白地への手段を残す








 左下の黒が生きた後、左下隅の白には黒から一線のワタリからのコウにする手がある。

 参考図D 黒71断固コウ続行







 黒71と挑発しても、コウを続けるしか黒は仕方がない。

 参考図E 黒89(以降99までには)は黒生きる一手







 左下黒には、何しろ出入り65目のコウが残っているので早い段階で生きておく一手。そうすれば白もシチョウを今の内に抜く位だろう。そうすれば黒は左上に先着できた。実践は近所コウが多いだろうとタカをくくって後に大事件が起こった。

 参考図F 黒91ラストチャンス







 単に黒91立ちで白全体を狙っている。ここで、白が92と置いて黒の眼を奪いにくれば順に図のように打って101サガリが冷静で、これで白の眼形の関係でコウは白勝てない⇒黒生き。

 参考図G 黒163で攻め合いは黒負け 







 黒163で左上隅の白と攻め合いにいくのはどうしても黒勝てない。

 参考図H 白184なら







 白184としたので、黒185とコウを取った時白186黒八子取り、黒187白四子取りというコウ解消=フリ替わりの可能性もあったのだが、この段階では白が拒否して、コウを続行した。

 参考図H
 
posted by 蔵山車理恵蔵 at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月03日

第54回NHK杯3回戦第1局△山下敬吾棋聖対▲趙治勲十段 256手完 黒6目半勝 2006.12.3OA








 解説:武宮正樹九段
 □なんてことはない布石であるが武宮正樹九段は白7は悪手であるという。すなわち、白12とハサまれた形は黒7が弱い、大きくとりこまれそうな形で「白優勢」とまで断言してはばからない。このあたりの武宮Pの発言は「成る程これがプロの感覚というものか」という“論理を超越した”一流プロの説得力がある。
 □ここで黒はどうするのか、と見ていると、黒13コスミとおっとりとしている。
 □黒13はなんかすましすぎのようで我々アマチュアには評判がよろしくないと思うのだが、武宮はこれがプロの常識、ふつうの感覚であって、「黒13と打って黒が悪いとするならば、それは黒13が悪いのではなく、それまでの黒の打ち方に問題があったのである」とする。
 □だから白14は参考図Aが正着だという。模様は囲うのではなく、広げて戦いを迎え撃つ(あるいは、敵が手をつけなければ大きく囲う)のが碁法だと武宮Pのご託宣。う〜む、真理っぽい。
 □ところが最近の山下敬吾Pは地に辛い。(張王座との王座戦第3局でも山下敬吾の地、張栩の模様という展開になり、山下が地で先行して勝った。)で、白14と上辺の白模様を地に囲った。
 □これには、武宮は露骨に嫌な顔。参考図Bを示し、模様をみみっちく囲うのは良くない、と諭す。なある。さすがは宇宙流本家宗元だけのことはある。
 □したがって白20で手抜きして左辺に割り打ちしたのは、白最悪の参考図Bを避けた賢明な態度ではあるが、黒21と押さえこまれては白良いわけがない。
 □白22〜黒25とまた大場先行の布石に戻る。
 □ただし、趙は黒23という一着にかなりの考慮時間を使っている。黒23はプロなら第一感のところであり、彼がその他の可能性を探ったということは、この23、25の時点で、趙が形勢必ずしも良くないと考え(もっとも、趙自身は昔から悲観派ではあるが)、方針変更した気配がある、という。
 □白26と衆目の一致する急場>大場であり、この時点で白はまだ形勢良かった。
 □だから、黒27〜33は必然として、白34とここで戦を起こす必要は白なかった。(形勢が良い時は、程々の互いに安全な別れで折り合いをつけ、盤面を狭くして安全裡に終局へと向かうのが大人の態度である)
 □黒35〜51となれば右下で(眼のない黒白大石同士の)けっこう厳しい戦いが勃発している。
 □白52は頑張った一着。参考図Cなら普通。
 □黒53は参考図Dのハネといきたい所をグっと押さえて自陣(右辺)を強化して相手に手を渡した“落ち着いた”(武宮)渋い一着。参考図Eの最悪の結果を事前に防止しているのである。
 □白54が黒53に輪をかけた好手。参考図Fの手段を防いでいる。
 □したがって、白54〜68は白が言い分を通した形。
 □黒71は参考図Gとの差で非常にデカイ。
 □白80はやりすぎの感がある。
 □というのも、80で愚直なノビは参考図Hのワタリがあって気がすすまなかったのが災いした。
 □なもんで、白80と頑張ったが、黒81、85とカケられては95まで黒一手勝ち。
 □攻め合いの途中、黒103は固ツギなら確実だが実戦のようにカケツギをするなど、対局者はよく読んでいる。武宮はそれについていけず117になるまで「白逆転か?!」などと騒いでいた。もっとも視聴者の我々だってそれにツラレて固唾を飲んでいたのだから、囲碁(録画)中継番組としては面白いミモノ(番組)にはなっていたんだから、武宮を責めるつもりはない。白114の時点で黒の次の一手を予想できる人は、早碁の生放送中という条件を考えればアマチュアにはいないだろう。
 □中央の攻め合いは右辺の白五子が取られて“つぶれ”たかにみえるが、白も一応はシボリ形ではあり、勝負は決したわけでもない、という。
 □まずは左上を白118〜黒125と脱出しておいてから、白128に詰め右下からの黒の大石に狙いをつけた!
 □だがその前に参考図Jの手段を講じておく必要があったのである。これなら黒の生きはむつかしかっただろう、と思われる。
 □かくして、白128の前のいつでも利くはずの白から中央黒へのノゾキを逃して、逆に黒から129にツケられてはここに節がついて、黒のシノギが楽になった。
 □黒147となれは、ここは連絡形である。勝負はこの瞬間に決まった。黒勝ちである。

 参考図A 白14模様は囲わない







 上辺の模様は囲うのではなく、広げるのが碁法というものだという。黒が例えば15などと動き出しても、それを迎えて敢然と戦うべし、というのが武宮Pのご宣託だ。この図は一例であるが、上辺は戦いになり、結果しろ半目白良し。w

 参考図B 白14悪手







 白14と上辺の白模様をいったん囲い始めてしまうとその保身的な態度の延長線上、@黒15〜白18A黒19〜白22が必然となり、 けっかとして白の上辺の白地は右上と左上の双方がコリ形という結果になっている。つまり黒23までの結果全体的に白地は上辺に偏在し黒模様は全体にバランスよく遍在という対照的な展開になっている⇒黒圧倒的に良し。

 参考図C 白52の頑張り







 白52は参考図Cのカカエが普通であるが、そうすると黒53のアテを利かされて中央の力関係が黒>白になるので、実戦は白52のツッパリで頑張った。だが、それが後に起こる大事件の伏線となる。

 参考図D 黒53ハネは







 黒53ハネの直接行動はこのようになればウマいが、実際はそうはならず、参考図Dの展開を辿ることが予想される。

 参考図E 黒が53ハネなら白54はカワす







 黒53ハネ白54トビの交換は、実は黒の強化にはなっておらず、四つに交わっての中央決戦になると、なんと右下、右辺ともに黒は絡め取られる仕儀に陥るのであった。

 参考図F 白54の効果







 白54があるおかげで、59の切りには60からこの黒が取れている。

 参考図G 実戦の黒71はこの図との差が莫大







 右辺は黒ぼやぼやしていると、このように白から四線で封鎖される可能性があった。だから、実戦の黒71〜白76は先手でそれを防いだ機敏な処置といえる。

 参考図H 白80でサガリは?







 この単純なサガリでも以下白86まで黒の二線でのワタリは許しても上部の黒四子を取っているようだが、黒87で逆に取られ!

 参考図J 白128はひとつ中央をノゾいてからなら事情は違っていた!







 中央の黒にノゾキがひとつあれば、中央と左辺の黒は繋がらず、黒は死んでいた?!














posted by 蔵山車理恵蔵 at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。