2006年07月30日

NHK杯一回戦 △小松英樹九段対▲武宮正樹九段 白4目半勝








 解説:大竹英雄名誉碁聖
 □先番武宮は1、3の二連星から5と小目にカカリ、6〜16となったところでフワリ、黒17の左下隅への五線高ガカリ(?!)。「楽しい。これだけ見れれば満足」と大竹。黒17は本人によれば「前に山城宏九段とやった時に打った記憶がある」とのこと。
 □白18の大ケイマの受けにも黒19、21と悠揚迫らぬ落ち着きぶりは流石宇宙流の本家。白4、18、20、22という25目はあろうかという左下隅の白地を与えてもいっこうに平気らしい。
 □黒23と右辺を三連星に構えてまさしく本格的に宇宙を構成する。
 □白24〜35と白はケイマカカリから三々入り。
 □黒37と六の線を二間に開いていよいよ武宮大宇宙が現実化しようとしている。
 □その一瞬、白38の“クスグリ”(大竹)。6からハザマに飛んで21のカド、何かよく分からないが、大竹によれば気分の出たいい手らしい。ふ〜ん。
 □黒39とツケて40の出と替わり、次の一手はノータイムでその先の押さえかと思われたが、武宮なぜか長考。結局、41と上に裂いて出て42のノビを許す。作戦変更らしい。武宮はしきりと苦笑いをしている。
 □とまれ、先手を得た武宮は黒43とケイマにスベリ、上辺も模様を拡大。
 □白44はノータイムの消し。七線にフワリと浮かんだ宇宙船のようだ。
 □と、黒45と9線のボーシもノータイム。考え出したらきりがないほどむつかしいところだろうに、両者直感と気合で呼吸が合っている感じ。
 □「お互い気持ちよく好きなところへ打って楽しそうですね」と大竹。
 □しかし、白46〜黒61と右上一帯を先手で荒らす。
 □返す刀で城62、64、66の一間を中央にポン、ポン、ポンと打ち、これが楽生きでは早くも碁は終ってしまった。
 □黒67と下からノゾいて脅かし77まで攻めを見せる。
 □白が上辺黒61と75の二子を取り、黒Q-16(白80のところ)と右辺を大きくまとめるフリ替わりかと思われた。
 □が、白78が欲張りの腰の伸びた悪手。
 □ところが、黒79カカエが黒61、75を助けて大きいようだが、白80で上辺と右辺の白が繋がってしまうと黒は何を打ったのだかわからない。
 □宇宙流は一手一手が緊密な大構想の連続で成り立っている。黒79などという地だけの手を打っては“ソッポ”もいいとこ。この一瞬に武宮大宇宙はビックバンを起こして爆発し、ブラックホールへ吸い込まれていった。
 □実戦は二百数十手打たれて数え碁になった(白4目半勝)が、白80の時点でこの碁は終わっている。



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2006年07月29日

第31期碁聖戦五番勝負第3局 依田紀基碁聖対張栩名人・王座 2006.7.27静岡県浜松市ホテル九重 黒2目半勝








 解説:今村俊也九段(『囲碁ジャーナル』BS2)、淡路修三九段(立会人、大盤解説)
 □黒3とすぐカカるのが張栩流。依田の攻撃的な白4,6に我関せず、黒5、7と“韋駄天”を貫く。
 □右上、白8の大斜ガケに黒13と外回りの簡明定石を選択、黒21シマリまでが張のの布石構想。色んな布石を大事な実戦で常に実験する張名人ならではの一着か。黒21は右上の厚みに遠くから応援を送っている、という意味もあるのだが、右上がスソ空きの右辺を地にしようというのは違和感がある、と今村P。黒21では武宮ならずとも下辺の三連星がバランスが取れていて良い、と。
 □で、白22は当然の割打ち。黒23、25の詰めに白22から中央に一間(K-5)に飛べば普通だが、依田は黒21に対抗するかの如く左上星からの白26ケイマ。大盤解説で立会人でもある淡路修三九段は「棋風が反対になったみたいですねえ」と面白がる。
 □黒27がなんともいえない玄妙な利かし。70年前に出現した呉清源の地獄谷みやげの新布石を彷彿させる。「突然新布石の気分になった」と呉は言っていたらしいが...。
 □白28のツケに、控え室では参考図Aが論じられていた。これはこれで相場らしいが、黒39まで実戦の進行のほうがやはり新布石の気分を継承しているようだ。
 □途中白336の三々は微妙な利かし。この先黒からF-5、F-7のノゾキが決まれば左下の黒が強化されて黒37ではなく、B-5とケイマで取りかけにこられる。今なら黒37だから最低コウ生きが残っている。「用心深い依田さんだから、保険を残しましたね」と淡路P。ただし、アジ消しの意味もあり、だから微妙な利かしなのだという。
 □白は右上の貯金が大きく確定地では白が走っている。
 □右辺から中央にかけての壮大な黒模様の真ん中にドカンと打ち込んだ白40。これを見て「荒らし25%で、攻め75%」とは1949年生まれ団塊の世代、全共闘流元祖ゲバルト淡路修三九段らしい表現。
 □黒41のボーシに白は42ツケ以下56とまずはシノギ。
 □黒57は強い手。56の左に押さえて右上と41を連絡しようとするのは、参考図Bとなって黒が一方的な被告になる。ならば、黒57と白の連絡を元から絶って生きていない石同士の競り合いの中から勝機を見出そうという張栩の強い意思の表明である。
 □それで、白58のトビから60のカケが厳しい。
 □それで、黒61とツケ、白62以下を誘って67まで中央に先行し、白が68と一手右辺に手を戻した時に黒69を利かす。
 □対する白70、72が強烈な反発。
 □ここで黒73〜77と今押さえたばかりの69を見捨てて五線を押し切ったのは損を先にする控え室を驚かせた非常手段だったが、続く79〜83が上辺から中央の黒をがっちりつなげ、右辺の白を84と後手で生きさせるなかなかの巧手だった。張栩は「こう打つしかありません」と言い切り、依田も「(右上の黒をせめていたのに、わずかな上辺の実利に惑わされて逆に自らが)白84と生きさせるようではダメ」と、ここの攻防が一局の焦点であったことを局後双方が認めた。
 □続いて黒が85〜89と下辺からの白の根拠を奪って攻めあげたとき、白90〜黒99が黒からのノゾキを避けながら自らを補強した手。先手で一眼を作り、左下隅にはなおコウの余地を残している。
 □しかし白の100はやむなく、その瞬間の黒101〜115が“韋駄天”張栩の真価を見せつけた光速の寄せ。この進行は一方的に黒が寄せまくっているようだが必然で、例えば白114で参考図Dと左下隅のコウを敢行するのは白にコウ材がない。
 □この後も黒は白につけいる隙を許さずがっちりと2目半余した。


 参考図A 黒29大フリ替わり






 控え室ではこのフリ替わりも検討され黒白共に大きな地模様を得て互いになかなかの別れという声もあったが、それは張栩の意図にはなかった。

 参考図B 黒57押さえ〜おだやかに生き生きでは黒コミが出ない






 おだやかな生き生きでは、右上の白地がものを言い、下辺からの白にそれほどの不安がないのなら、白右上で地をリードしているだけに逃げ切りの可能性が出てくる

 参考図C 黒57押さえ〜なまじ強行に黒65、73などと攻め合いに出れば逆に黒取られる






 白62に反発して攻め合いに行くのはかえって黒の取られに終わる

 参考図D 白114で左下隅のコウをしかけるのは白コウ材が続かない






 白114で左下隅をコウにはいけないのだ。











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2006年07月11日

第61期本因坊戦第6局 △山田規三生九段対▲高尾紳路本因坊 2006.7.11/12 黒中押し勝 








 解説:趙善津九段
 □黒21で定石は黒21カカエだがそれでは隅を白に与え甘いと見た。
 □白22でヒキはない。参考図B
 □封じ手だが、参考図55と57の両方が先手で利けば、黒59からの出切りが成立しそうで、白も対応にけっこう悩ましいのだ。
 □[ここより二日目]封じ手黒55〜白60が先手で利き、黒61とハネられては白も62と戻るしかない。
 □ここで黒は強烈な63の下切り、高尾は一気に碁を決めに来た感じ。
 □白64〜84はやむをえないところだろう。
 □黒85は41分の長考、取りかけの気分。
 □何と山田規三生はここで中央を手抜きして86と逆に右上の黒に王手!
 □黒87〜113で左下からの白の大石は死んだ!
 □白114と右上の黒地の急所に置き!
 □黒右上は構わず、115と切り、中央の黒石に保険をかける。「上辺は捨てても、ここに余禄がつけば勝ち」との冷静な判断か。
 □白116と右上を取り切る。
 □黒117と中央に二重の鍵を下ろす。ここさえ崩れなければ、右下や左上の寄せは恐くない、と言っている。
 □「この碁は寄せ勝負で細かかった」というのが、あおきひとし説である。すなわち、「白138、140のハネツギが右辺のまだ生きてない黒の攻めで先手とみたのが敗着である。」「白238では参考図Dのように、二線のコスミ(ハネツギはふつう両先手6目)を打っていれば白1目半残していた」というものである。
 □黒179で、白が投了した段階で、形勢判断。黒地は左下全体104目+右辺3目+アゲハマ2目=黒地計109目。白地は上辺65目+下辺33目+コミ6.5目+手番と右辺の黒を攻めて得る利得=白地計104.5目+白180以降の利得。
 □つまり、白180で右辺の黒(まだ一眼しかない)を攻めて、4.5目の利得を得る自信は白になかったから、白は投了した。

 参考図A 黒21定石では






 定石(1976年刊『基本定石事典』石田芳夫著)は白24まで隅は白地になるというものだが、この場合右下に白4が先着されているため黒25からの戦いに高尾は今ひとつ自信が持てず、実戦の進行を選んだと思われる。

 参考図B 白22ヒキは白取られ






 白22でヒキはない。白46でワタっているようだが、黒53のカケで下辺の白は丸取られ。

 参考図C 白55以下これだけはない






 黒55ハネと57ヒキが先手で利けば、59からの出切りが成立しそうで、白も忙しいのだ。

 参考図D 実戦の白138が敗着、ここでは二線のコスミを打っておけば白勝っていた






 これならば、あおきひとし流のザツな寄せだと白に1目半残る。








posted by 蔵山車理恵蔵 at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

第31期碁聖戦五番勝負第1局 △依田紀基碁聖対▲張栩名人 黒半目勝 2006.7.6広島県呉市 








 解説:小林覚九段(『囲碁ジャーナル』2006.7.8OA)、中野寛也九段(新聞解説)
 □のっけから、白2のカカリ。以下黒は次々と空き隅の小目に先着して秀策流風、白は4、6と総ガカリの気配。
 □序盤の早い段階で「1.空き隅>2.シマリ>3.カカリ」なる“序盤の法則”に反して、空き隅を省略してカカっていくのは最近の流行。
 □しかし、それも3手目以降に先着してある一隅を継続して打つ前提として、それに隣接する隅に既に打ってある相手の石にカカって相手の反応を見、その結果としてここ(先着してある一隅)を打つ場合が多かった。その代表例がミニ中国流である。
 □それが変化してきて、カカリっぱなし(先着した個所のシマリに戻らない。相手のシマリを先手で妨害した利かしと見る)という最新の流行は、この張栩名人が日本へ持ち込んだように思われる。
 □つまり、時のナンバーワンの打った手が流行する(他の多くが研究して、実戦で試してみるので流行現象が起こる)のが世の習い、というか、その打碁の注目度の高い張栩こそがまぎれもないただ一人の日本トップ(四天王とか、三強というのは嘘)である証という逆説も成り立つわけである。
 □この世界の公式序列は棋聖>名人>本因坊であるが、その歴史とか、長く就任した棋士の強さなどから名人>本因坊=>棋聖という図式が当今は感じられなくもない。だから、最近の棋聖戦、本因坊戦のタイトルホルダーと挑戦者の顔ぶれをみて、今度のこの碁聖戦こそが、碁聖(前名人)対名人ということで当代の最強者決定戦にふさわしい、という過激な論議も出てくるのである。
 □その当代最強の張栩名人の行く手を阻むべく前名人の依田が、“韋駄天”栩っクンの上を行く総ガカリという意欲的な布石で立ち向かっている、というのがこの碁の構図であるようだ。
 □黒7に至り星に打ったことで総ガカリは避けられた。この黒7で右下もQ-3の小目に打てば白R-5のケイマガカリが予想されこれは総ガカリになる。ということは、黒7ケイマは白の目論見(総ガカリ)を外した一着で、後の黒29の厚いマゲとともに厚くりっぱな一着(小林覚九段)でありながら、後手ではあり、白の言い分を通して一局の主導権を白に渡しているという意味で「序盤は黒良くなかった」という局後の勝者(黒番の張栩の発言ですぜ)の反省がでてくるのである。
 □さて、白番でありながら白8で先手=一局の主導権を握った白はどこに打つべきか?というよりは、どういう発想で白8を打つべきかが問われるところだ。
 □小林Pの教えは「攻め、厚み>守り」だ。うむ、納得。これからは小林覚センセのことは“尊師”と呼ぼうw
 □で、白8、10と左辺での戦いの覇権を唱える。
 □ところが碁とは面白いものである。
 □9のコスミは、かのNHKが“家元制度という今日世界に通用するスポーツ選手(イチローのことか?まさか、あのイジケ虫<ナカータ君>のことじゃないよね)を輩出する礎を築いた日本独自の知的スポーツ育成システムが生んだ精華”=秀策創案の不朽(不急でもあるが)の妙手コスミであって11、13、15と四線を塗りつけられるとアラ不思議、下辺は「参考図Aでダメだよ」と叱られた白地になってしまった。しまった
 □参考図Bを眺めてほしい。この黒17は左辺の広がりすぎた4、8、10という安普請の模様に対する打ち込みというよりは、3-17のラインでは左上白4に対する2-1(当然、有利)の三間高バサミによる攻めになっており、また左下8、10という弱石をやはり17-5、9、11、13、15という鉄壁による攻めになっていて、これはいわゆるひとつの“カラミ攻め”である。白ピーンチ!
 □白18黒19が“いかにもプロ”という威風堂々、がっぷり四つの取り組合い。大相撲なた土俵中央で四つに組んでしばしストップモーション、観客席からは拍手が起こる場面だ。
 □黒19では、白18の下(F-10)にツケて、一戦交えるといういき方もあって、これはこれで一局とのこと。「一時間考えても、どうなるのかわからない」と小林P。うみゅ。
 □とまれ、左辺の戦いは「張栩らしくない」黒29と厚く打って一段落した。
 □それはつまり、上辺にどちらか先に先鞭をつけるのかがとてつもなく大きいからである。白30と三間開きを打って白が安定するのか、黒29は手抜きして放置し、黒30と三間高バサミにして上辺で起こる戦いの主導権を黒が握るのか、の差は天と地とほどの開きがある。
 □が、上辺で起こる戦いはいずれ左辺に浮いている黒石に波及するのは必死とみて、未然に黒29と一手かけたのは「今、日本で最も打てている棋士」張栩の見識であり、「これで遅れるわけではない」という自信の表れである。
 □黒33の詰めに白は34、36と右辺に展開する。これはその昔日本棋院選手権(現在の天元戦の前身)で活躍した大平修三が開発した<隅よりも辺を重んじる碁>だという。
 □勢い、黒は37〜49と上辺を黒地にし、白は48〜60と右辺に巨大な模様をつくるという展開になる。
 □白56と黒57という「お互いに我が道を行く」打ち方は「タイトルを取っている人同士の気合、意地の表れ」だと小林P。
 □このあたり『週刊碁』では白乗りの声が高かったようだが、小林Pは「正直この碁は解説不可能。昨日1日家で調べたが、結局わからなかった」と告白する。依田は「打っている時はいけると思っていた」「結果論だが、右辺の模様化は失敗だった」。張栩は「序盤が悪かった。その後はず〜と形勢不明だった」
 □解説の小林Pは「黒79が中盤の手止まり。白84となって、この幅で白が収まれば、黒良し」と言う。
 □「寄せは両者、ノーミス。どうも下辺、右辺でポイントをあげた黒が、途中差がつまったものの、見事に逃げ切った」(中野寛也九段)張栩名人の手厚い半目勝。

 参考図A 白8は守るところではない






 白2、4、6は忙しく打って乱戦持込みがテーマだから、白8でもその意図は一貫されなければならない。よって、この白8などは論外ということになる。黒9からは“ためにする作図”であってあまりあてにはならないが、“治にいて乱を忘れず”という譬えにもあるとおり、一局の主導権をどちらが取るかというのは少々の地などよりはるかに大事なことである、と知らなければならない。つまり、黒9と先手を渡しては白は左辺での戦いの主導権を黒に握られたことになり、(下辺での安定という白の利得を上回る)良い結果が得られる道理はない。

 参考図B 黒17の攻めに白18以下でシノギ






 白17の段階で左辺は黒=強い⇒攻め、白=弱い⇒シノギという力関係になっている。だから、いったんは18とボーシで脅かしたものの、黒19が“慌てず騒がず”の力強い構えで黒5子(+11、13、15の3子)>白4子という強弱関係は変っていない。だから白20とつけられて黒部分的にはピンチに見えても、21の一子を囮にして白28とやすやすとサバいてしまう。黒29は“張栩らしからぬ手厚い一手”であった。





posted by 蔵山車理恵蔵 at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月05日

第26期NECカップ一回戦第6局 △依田紀基九段対▲山下敬吾棋聖 黒中押し勝 2006.6.17金沢








 解説:小林覚九段
 □黒が両目外し、白が高目と目外しと“奇妙な”陣形。「碁打ちは常に可能性を探っている表れです」と小林覚九段。
 □左下で白が大斜に誘った理由は左上隅の白三子の壁を活かしたいから。参考図A常識的な黒27一間は白28、30が名調子。
 □黒37ハネは頑張った手。
 □だから、白38では切ってみたかった。参考図Bとなれば壮大な白模様が好ましい。かといって、黒39で参考図Cの右当ては黒自滅する。
 □実戦の白38黒39となれば無理が通ったかっこうで黒良し。(J-7の断点を狙い、後に黒47まで踏み込める足がかりになっている)
 □黒47とここまで踏み込めるのは、白38黒39交換でここに断点ができているおかげ。
 □白48黒49となれば、黒はずいぶんな利かしだ。
 □黒51は参考図Dと中央から詰めたい。黒13、29、49は隙のある形なのでそれを補強しつつ、白を黒がしっかりしている右上隅に追い込むほうが良い。
 □黒53は荒らせるだけ荒らそうというもの。
 □白54と遮って大きく黒を攻める。
 □黒55〜75まで互いに手筋を応酬。
 □白76敗着。参考図Eなら左辺黒五子は取れている。
 □実戦の白76では黒77〜白90でコウ。
 □黒は91、97、103と近所コウが多い。
 □白は104ツギで妥協するが、黒105で左下隅の白地変じて黒地に。「出入り50目の損」(依田紀基九段)万事休す、である。

 参考図A 黒27一間は白の策略に嵌る






 白28、30で左辺は全ての白石が連動して黒を包み込む感じが好ましい。

 参考図B 白38と切ってみたい






 黒が下当てから這いなら、塗りつけて中央の白模様が四線とはいえ確定地を増やすだけの下辺の黒地よりも優る。

 参考図C 黒38右当ては成立しない






 黒38右当ては逆に下辺の黒が取られてしまう。

 参考図D 黒51攻めは弱い石から






 黒13、29、49は薄いのでその補強をかねてこちらから動くのが棋理というもの。

 参考図E 白76で左辺は白地だった。






 白76でこのように中から動いていれば黒を切断できた。












posted by 蔵山車理恵蔵 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月04日

第19期富士通杯世界選手権決勝戦 △朴正祥六段(韓国)対▲周鶴洋九段(中国) 白中押し勝 2006.7.3








 □黒5、7と打ちっぱなしで、9、11と足早に展開する。
 □白14〜黒43は双方ほどほどの分かれではあるまいか。
 □白44で黒の13と3が分断されてピンチだが、黒55まで軽サバの気分。
 □白56〜黒7が宙に浮いた格好だが、白68までとフリ替わり、黒69に一手備えては黒が打ちまわした展開だ。
 □白72〜76でコウになるが、黒は余裕で101、103となれば満足以上のものがあるのではないか?
 □黒111以下は碁をお仕舞いにしようと言っている。115では普通に割り込んで充分だった筈。参考図Aだ。
 □黒129ではポン抜きでのフリ替わりでほどほどの分かれで、先手で下辺の大きな這いに回って黒優勢ではなかったか?参考図Bである。
 □黒165ではもう一コウ粘って、コウを抜けば、白厚いながらも一応は寄せ勝負だった。参考図C。

 参考図A 黒115普通に割り込めば黒良しじゃない?






 どうして黒は115で普通に割りツギをうたなかったんだろう?以降普通に寄せて、黒良しの筈だが...。

 参考図B 黒129抜きでも黒良し






 黒129で一子ポン抜きで黒良し。白130は黒131が先手なのでここが止まり、白は存外小さい。とすれば、懸案の下辺黒133押しに回った黒が勝ち。

 参考図C 黒65ではコウ続行






 せめて黒165ではここのタケフの出切りで1コウ稼ぎ、黒169では上辺のコウを解消したかった。白170には下辺を小さく捨ててフリ替われば...。やはり白が良いことには変りはないが一応寄せ勝負ではあった。



posted by 蔵山車理恵蔵 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月02日

第54回NHK杯一回戦 △円田秀樹九段対大竹英雄名誉碁聖 白1目半勝 2006.7.3OA








 解説:林海峰九段
 □白18〜黒21はこう打つ所。
 □白22、24は薄い。
 □黒23、25が鋭く、白26〜30は止むをえない。
 □黒31のツケで白まいっている。
 □白32〜51で右上隅がよい地になった。
 □白52は大場。
 □黒53、55は、後の狙い(左上の白を攻める)が遠く、ならば後手12目の寄せに過ぎず、モノが小さかった。
 □その左上の白に援軍を送りつつ、左下からの白模様を広げ、あわせて左上の黒を低位に追いやる56の肩ツキが絶好だった。
 □黒は57〜93と出切っていったが、これが意外に眼形に乏しく苦労することになる。
 □その間に白は88、94を打ち、左下〜下辺がいい白地になってきた。
 □95は軽い気持で利かしたつもりが、96、98と反発されると黒は99が省けない。
 □白100とツケて一応ここは白が制した形だが...。
 □黒101、105と下辺に手をつけていくが...
 □白106、108が来ると黒も111と右辺を生きねばならず、
 □白112と黒101、105を切断してしまった。
 □勢い黒も1133から119と出切っての反発は...
 □白120カケから黒123のフリカワリとなる。
 □黒131、133のコウが本局のハイライト。
 □コウ材は黒乏しい。
 □それで、白152のコウ立てに、黒153、155と反発して中央の石を下辺の孤立した黒二子とつなげモノを大きくするが、黒163から166とこちらもコウになるようでは苦しい。
 □結局左辺175、177の連打との交換で白は176と右辺のコウを解消。
 □中央の黒も二眼作っている間に、白に右辺を白180、186と先手で齧り取られ、待望の白190ツギにまで回られては白が逆転したようだ。


posted by 蔵山車理恵蔵 at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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