2006年03月08日

第44期十段位決定五番勝負第1局 ▲山下敬吾棋聖対趙治勲十段 白中押し勝 2006.3.8








 解説:武宮正樹九段
 □山下黒1、3の小目には趙2、4の二連星。黒5のケイマカカリに白6の一間。全盛期から特有の型は持たず、あらゆるタイプの碁をこなしていた趙だが、ここでも山下棋聖の先番に正々堂々と受けて立つ横綱相撲?!
 □山下黒7とミニ中国流に開く。
 □白8の打ち込みには上辺9と足早に展開する作戦。
 □白10〜20と左辺を制するが黒も11〜21と左上をしっかりとって上辺の模様を形成。解説の武宮は黒は上辺に偏していて(黒9が三線にある!)、白はのびのびしていて面白い、と言う。
 □白20で参考図Aのようにハネると、参考図Aの進行が予想される。これは白26まで先手で固めて、白28に先着してうまいようだが、黒23に石がきて12、14の白二子が死に体、黒28ツケ以下左辺の黒一子も策動するアジも残っていて白が悪いのだという。
 □白は左辺〜左下の模様を固めるべく22と一着かける。
 □黒23が序盤の岐路。武宮は右辺に先鞭(R-6かR-10)して模様を広げるのが普通だと言う。
 □黒23のハネも小憎らしい好手で、白が押さえ込めば逆に出切って白二子を取ってしまうと主張している。
 □白24〜28と右辺に先鞭するが、その分上辺の黒模様も強化されている。
 □黒29のケイマカカリに白30といっぱいに詰める。
 □山下は黒31と三々に入った。
 □趙は32と抑え以下46まで右辺いっぱいに模様を張って更に上辺の侵入を窺う。
 □白46はN-6カケツギが本手だが、すると黒から右辺にQ-12に先着されて白の右辺を制限された上に上辺が盛り上がるのだ。
 □ここで山下一局の岐路に立った。ここでは様々な展開がありえただろうが、上辺は受けづらいのだろう。また左辺の黒5の動き出しは一方的に攻めを受けるだけと見た。そして右辺の白模様の消しも単独でいっては標的になるだけで面白くない。
 □そこで山下が選んだのは黒47切り。ここから戦いを起こして全局に波及させることを考えた。いかにも武闘派の山下らしい剛直な戦略である。以下55まで右辺と下辺をそれぞれ白地にしても、53〜55と中央に構えた厚みは上下左右全局を睨んでいる“耳赤”だと主張している。
 □白50が趙らしい一着。武宮は上からN-6あたりに押さえて打ちたい、という。下辺の白二子は捨石にして右辺から左辺の模様を強化するのが大局観から見て王道だと主張する。
 □だから、黒53と打って白54と交換したのはいかがなものか、という。中央の黒を寛がせる意味では安全だが固すぎる。後にG-4にくっつけて左下の白模様を荒らす手が消えてしまったからだ。
 □となれば売られた喧嘩は買うのが趙。上辺深く56と黒模様の中心に打ち込んでこの石に死にはないと言っている。黒53と白54の交換がなければ、白もM-16カタツキあたりに控えて、中央の黒の攻めをにらむところだった。
 □黒も57〜63と出口を塞ぐ。
 □白も62、64、66と四線を押して退路を確保、返す刀で68と引いて右辺も守り、と忙しく立ち働く。“シノギの趙”の面目躍如だ。
 □しかし黒69の出には、白70〜74までこちらを逃げなければならず、黒は77、79から85まで右辺を荒らす。しかし、逆に白の立場から言えば、このラインで黒の侵入を食い止めているともいえるわけで、流石に第一線のプロ同士の対局らしく互いに容易に相手に決定打は与えない。
 □黒も攻め一本ではなく、81と82を交換した調子に83と守り、84、88と白が逃げれば87、99と又追うという具合にコンビネーションプレイを使い分けてこのあたり両者スリリングな攻防を展開する。
 プロレスなら観客からいっせいに拍手が起こる場面である。
 □白も100〜110と必死に逃げ出すが、黒111が将棋でいえば“必死”の形。白大石の逃げ出しと左辺黒の策動を天秤にかける。
 □白112と左辺を守り中央は居直る。白も必死のところだ。
 □黒113〜119と出口を閉ざせば、たまらず白は120と上辺へ戻り、生きを計る。
 □黒121〜125とここに一手かけて黒の連絡を確かなものにすると同時中央での白の目を奪い、生きを催促する。
 □白126とツケコシて上辺を破り、黒の出方を窺う。上辺の黒は、放置すれば白から左右を利かされて生きてしまう。
 □そこで、黒はいったん135、137と上辺の生きを確かめて様子見。
 □白もコウ生きならあるが、左上は138、142としたままで放置して、144と右上をカケツギ、黒に手を渡す。
 □このあたり両者秘術を尽くした必死の攻防だが、黒はこのまま治まったのでは黒芳しからずと見たか、あるいはここが決め所と見たか、遂に149と置いて157までコウに持ち込んだ。
 □黒157は諸刃の剣ではある。白に158とされた時黒には二つの選択肢があった。ひとつ、黒60とついで黒は確実に生きるが、その時は白にも165と二眼持っての生きを許してしまう。もうひとつが、実戦の進行、黒159と白の目をつぶすが、白も160とコウを取れば、黒にも一眼しかなく、ここが絶対コウになる。
 □参考図Bは白がコウを避け、左辺から寄せた図である。白が30目良し。
 □とまれ黒はルビコン川を渡った。
 □コウ材は黒が少ない。
 □白も二眼はなくなったがコウを継いで黒を一眼とし、一眼同士の攻め合いは白勝ち。
 □黒は下辺のコウに最後の望みを託すが、白にコウ材が多く、下辺の白に死にはない。

 参考図A 白20別法







 参考図B 黒がコウを仕掛けず左辺から寄せた図














posted by 蔵山車理恵蔵 at 22:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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