2005年12月27日

第6回農心杯▲王磊八段(中国)対李昌鎬九段(韓国) 白中押し勝 2005.2.24







 解説:呉清源
 □黒5は趣向だが、F-6の“いっぱい”のカカリが普通で、白6の詰めに黒7と後手で守っても打ちこみの余地が残り問題と見る。
 □白8は当然の一着。
 □黒9は左辺の割りうちも考えられるが、それは白O-17と右上黒の星にケイマのカカリにR-14ケイマと受けさせた拍子でR-7(白20)と開かれると右下黒への白からの打ち込みが現実の脅威となるので却下。
 □白10は左下隅の白の星から下辺への大ケイマの構えとの関連で必然。
 □黒11から19は上辺の黒の低い構えに対し、白は左辺が立派な模様になっていて優る。従って白20は左下隅を固めるC-5コスミがより魅力的。
 □白20が右辺に向かった(上記の理由で大きい)ので、黒21から左辺から左下隅の白模様を荒らすのは当然。それに対して白26と挟んだのは白30まで後手を引いて疑問。
 □黒31は盤中最大の急場。
 □白32は右上のカカリが普通。現実の左辺の白模様を拡大する白32は、黒33、35がまずく黒の一団が窮屈になってしまった。(現実に後にH-6にボーシされて黒は左半分が白に取られてしまう)
 □足早の展開を好む呉は黒37で右上隅コスミのシマリを推奨するが現実の展開は黒37〜45という右辺白の圧迫。
 □左辺の白模様を広げる白48にも呉は異論を挟む。右上星へのカカリ(黒からはコスミのシマリ)がより急場だという。(後に白90、92が黒の地模様を食い破った)
 □黒49が微妙な一着でこの碁のターニングポイントとなった。白53と一子を抜けば黒O-7と引いて右辺白への中央進出は止まっている、と白に脅しをかけている。白は単にs-11コスミと後手で生きるのはつらいのでひとつ白52と出て黒53と換わりここに味をつけておいてから白54、56とハネツいだ。(ここは、後に実現した白92からの切断が手になるところ)が黒57と白二子を制しては左下の一団も強くなって黒満足。(白58で白92の切断は、今なら黒は上から当てて小さく捨ててよい)
 □そこで白58が巧妙な様子見。黒59はM-3と引いて先手を取り、以下右辺の黒模様を強化して囲い合いにむかえば黒悪くなかった。それを黒59〜69と取りにいったものだから引くに引けない戦いとなった。しかし白70、76がうまい手で、黒89までのフリカワリとなった。この結果をみれば、下辺はもともと黒地がみこまれた所で白十子を取ったといってもたいした儲けとはいわない。ところが白は取られていた白二子が逆に囲んでいた黒三子を取り込んで生きたのが大きい。十子と三子では黒のほうが得をしたと思うだろうが、白は先手で中央を厚くしたのが馬鹿でかいのだ。
 □その中央の厚みを背景に結局、白90、92以下で右辺から中央を大きく取り込み、上辺も先手で荒らしておいてから、最後に白134ボーシで左辺の黒をも屠ることになっては白の勝利は確定した。


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2005年12月25日

NHK杯囲碁選手権トーナメント3回戦▲森山直棋九段対依田紀基碁聖 黒3.5目勝 2005.12.25OA







 □右下隅の戦いで依田が白10と手抜きして左下隅を占めたため、森山は黒11から黒13とカケて攻めを見る。
 □白16に黒がただちに出切るのは、黒もP-8あたりから出切ってきて黒7の一子が持たないのでその補強に黒17と白6の肩をついた。対する白18のすべりに黒O-6と突き抜け、白R-8渡りという別れになればまずまずの分かれ(黒の厚みと白の実利)かとも思われたが、森山は強引に黒19と渡りを拒否した。白18、20と突き上げてきた時P-9に押さえることが出来ずに黒23と引くのはつらい。白24、26と外に飛び出した白がまずはリード。
 □森山の黒33ボーシという強攻に、依田も白36と急所から反撃に出る。森山は黒37から中央を出切ったが隅がコウになり、その代償に出切った要石を白52とポン抜かれては早くも勝負あった、かに見えた。
 □森山は黒53ノゾキ以下左下隅に展開して中央の白の攻めを狙うが、黒63サガリと黒67ケイマの攻めに対し依田は白62、68と大場を占めて動じる様子もない。
 □右辺の白を狙う黒69に白70と飛ばれてみれば右辺の黒も薄い。結局は黒71、73と右下隅の黒と繋がらなければならず、森山後手を引いてしまった。
 □ここで依田は白74の出から下辺を決めに行ったのだが、その途中での白84と左下隅の守りに一着をかけたのが大事を取りすぎた感がある。ここはG-7(黒85の地点)と出てゆけば左辺の黒はバラバラになり、下辺の黒もまだ生きていないところだったのである。森山は依田が見せた一瞬の隙をついて黒85と先手で当てて左辺を守り、返す刀で黒87〜95と7目の地をもって大威張りで下辺を生きてしまえば、勝負のゆくえは混沌としてきたきらいがある。
 □白96のノゾキは右辺の黒を切り離そうというものだが、非勢を意識している森山が素直に継ぐ道理もなく黒97と反発する。そして白112まで森山の黒は中央で居直った上、上辺も黒113と地を稼ぐ。この右辺のつばぜり合いの過程で依田はいきがかり上、初志を貫徹して白14と黒を分断するのだが、以下白128まで白の攻めは空転したきらいがあり、黒129と中央に構えられては、形勢は不明である。
 □更に白32のノゾキがひどかった。黒33のハザマとの交換は、白が黒一団の端っこの石を齧ったでけなのに対し、黒はもともと白の勢力圏であった左辺の白68を包み込んで10数目の地をもって生きたのでは白まったく割りにあわない計算だ。ここでの戦いで勝負の決着はついた。
 □白150の守りに対し、黒151コスミは勝利宣言。


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2005年12月22日

リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2006 準々決勝 ▲梅沢由香里・趙治勲ペア対小林泉美・山下敬吾ペア 白中押し勝 2005.12.10







 □白の勢力圏である下辺に梅沢は黒5と打ち込み小林の白6のハサミに趙は黒7と早くも変化球を投げる。これが250手におよぶ碁盤全体をつかっての乱戦の嚆矢となった。
 □山下の当然の白8分断に黒9の是非はともかく、趙は黒11と右下隅に色気を見せて山下の白12の打ち込みを招いては黒の弱石は3つとなり、黒の梅沢・趙チームは早くも苦しい戦いに突入させられてしまった。
 □黒13〜25とお互いに中央へ展開していくが、趙の黒27の一間トビに、山下の白28カケを喰らった。こちらのほうがモノが大きいので、左辺の攻防は放置したままこの一団の黒石(黒7、15、23)のシノギにまわらなくなっては黒チーム苦しい。梅沢・趙ペアに不協和音が漂いはじめる。
 □黒29〜35とヘボノゾキの連続でこの一団は中央へ首を出したが、両側の白を固めるマイナスは小さくはない。おまけに先手を取られて山下の白36両ノゾキに受けることがかなわず、黒37〜45と隅で生き(しかも、後手!)た代償に白42とここを突き破られては、以降の戦いの主導権は完全に白が握った。
 □黒は中央の棒石ふたつをしのぎつつ、左辺と右辺で地合いのバランスをはかるが、その分中央が薄くなり、小林の白118で中央黒の大石が御用に。
 □その後、梅沢・趙ペアは驚異的な粘りを見せ、逆に上辺の白石を取ってしまう。
 □逆転したか、と思った瞬間に梅沢が黒61とコウを解消して上辺の白石を取りきったのが緩着で、ここで左辺黒62と受けていれば勝負はまだこれからだった、かもしれない?
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2005年12月21日

第31期天元戦五番勝負第5局 ▲山下敬吾天元対河野臨七段 白4目半勝







 □互いに隅を打った後、左下隅で河野の白8のカカリに対し、山下が黒9と二間高バサミに挟んで小競り合いが始まった。河野の白14のツケに、山下はクロ15と強手で対抗。山下が黒27ノビから31切りと中央に厚みを構築し、河野は白32と黒四子を取って下辺に地を得た。
 □右上隅の白34のカケに、山下は手を抜いて黒35と下辺の模様を強化した。しかし局後山下が悔やんだのは、白36の二間開きに対する黒37のカケ。黒45とこちらに継がねばならないようでは下辺の力関係は白有利に運び、白46、48と黒一子を切り離されては勝負はついたも同然だった。
 □結局黒61と右上の黒模様に芯を入れても、白68以下楽々と生きられてしまい実質的に碁は終わっている。
 

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2005年12月18日

NHK杯囲碁トーナメント3回戦 ▲山田規三生八段対△柳時熏九段 白中押し勝 2005.12.18OA







 □黒15からは趣向。黒の実利と白の模様とでいい感じの分かれ。
 □白30に下から受けるのはつらいとみて黒31にカケた。ここから終局まで続く戦いが始まった。
 □白32は「やりすぎた」と柳の反省。一路控えて5-Pのカカリなら穏やかだった。実戦の進行は白の形が崩れていてつらい。
 □白54、56は強手。右下からの白が逃げるだけでは不満で、逆に右辺の黒5、45への攻めを狙っている。結果論だがこの「無理(気味)が通った」(柳)。白54では中央へ二間に飛んで中央の模様化を睨むのが本手という局後の感想ではあった。
 □中央での戦いが続く中、黒75ケイマが薄く、敗着になった。以下、白模様の中でむつかしい戦いが続いたが、終始攻勢に立ち、一歩も緩まなかった白が勝利を収めた。


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2005年12月17日

第31期天元戦五番勝負第4局2005.12.15▲山下敬吾天元対河野臨七段 黒中押し勝







 □黒1、3の目外し連打は趣向。白4のかかりに15-Dのケイマ以下4線を押して16-Lに構えれば“あおき流目外し三連星”だったがそうはならなかった。残念。
 □黒7の二間のトビに左辺を受けるのは14-Hのボウシがいい調子で右上の高いシマリが働いてくるのを嫌い、白8にツケた
 □黒9〜白18までけわしい戦いだがひとつの定石ではある。
 □黒19で左上の折衝に手抜きして左下に構えると、白も白20黒21と4線の切りと2線の受けを利かしとみて白22右下シマリに回る。
 □つまり黒23白24黒25の黒からの左上の補強は、黒19の左下や白22右下シマリほどではないが、一手の価値があるのに対し、白22の時点での白13-Dヒキは左上隅黒が生きているのでそれほどの価値はないという理屈になる。う〜む、微妙だなあ。はっきり言ってよくわからない気もする。
 □白26と左下の星にある黒にケイマガカリしたが、これに対し8-Cと左上の黒の厚みを背景にはさむのはない、と解説(NHK「囲碁将棋ジャーナル」)の大矢浩一プロ(対戦者の河野臨七段と同じ小林光一門下)は断言する。これもよく分からん。20世紀後半の趙小林の時代からの囲碁の布石理論は全体戦略という観点から衰弱していき、アマの理解を拒むものになったようである。韓国や中国のセチガライ碁に対抗するべく、序盤から地にこだわる精緻な布石になったという見方もあろうが、藤沢秀行-大竹英雄-加藤正夫-武宮正樹という骨太い碁の流れは傍流になったことだけは確かなようだ。
 □黒27、29以下のツケ押さえ定石に白は白32のぼんやりとしたケイマツギで対抗する。「7-Eの堅いツギなら普通。河野らしくない」と大矢プロ。無論善悪は別である。
 □黒35の二間開きは白32(の緩さ)を意識したものか?一間なら手堅いが縮こまりすぎと見たか?
 □白38のサガリは黒7-Bと交換できれば外側からピタピタと締めつけていい捨石になるが黒39とコスまれてみると、このあたりで白はうまい決めつけが出来ない。つまり、白32とのコンビネーションが悪いのである。
 □白40、42に黒43のハネコミが機敏だった。白50まで黒35、37の2子を分断したが、黒53白54が利くのが自慢、黒55〜59を先手で決め手白陣を破り、黒61以下出切っては左辺の白は取られ。勝負は一瞬にして決着した。山下パワーの爆発である。
 □黒71以下略。黒中押し勝。

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2005年12月15日

2005.12.15第30期名人戦記念特別対局 ▲大竹英雄名誉碁聖対△林海峰名誉天元 黒中押し勝







 □黒3のカカリっぱなしは気合。厚みを重んじ、ごちゃごちゃと打つのを嫌う“大竹美学”には珍しい手。最近の張栩のやり方を意識したものか。
 □白16は林の長考の末の一手だった。作戦の岐路である。
 □白22黒23は白の利かし。形を重視する大竹にとってはつらい受けだったか。
 □白24ノゾキに黒25と反発。意地で互いに切り違える。
 □白38に黒39と一歩もひかず、上辺の戦いは激化の一途を辿る。
 □黒51までと黒が左上をほぼ生きれば、白も52と上辺の白一団を補強する。
 □黒53は14-Bコスミの実利が大きいが、白に54を譲っても黒55のカケで打てる、と大竹は見ている。
 □それで白54,56から先手で左上の形を決めた後、黒55カケには手抜きして白66盤中最大の大場を占める。
 □大竹は黒67〜77と厚みを拡大していくが、林はしろ68以下右下に実利を稼いで対抗、お互いに我が道を行く。
 □大竹は黒101と中央白の急所に迫るが、林は白102、104と必死の抵抗。
 □白114とつながっては下辺にかなりの白地が見込めそう。ただし左辺に傷残り。
 □林が白124と下辺を広げ、双方の地のアウトラインがほぼ確定。
 □白が132と左辺の白数子を助けたあたりで、控え室の検討陣の評価は「黒形勢良し」
 □黒137のノビに林は足りないと見て白138、140としたが、黒141、143で上辺の白がコウになっては投了もやむなし。


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2005年12月12日

第7期東京精密杯女流プロ最強戦決勝 ▲小西和子八段 対 △小林泉美六段 白3目半勝







 □黒7はその一路上の8-Dの大々ケイマカカリがかつて1970年代に小西和子が所属する関西棋院で流行していた。今はすたれたのであろうか?白36までおだやかなすべり出し。
 □黒37の消しに対し白9-Dのケイマが第一感だが、小林は先手を奪うため白38のコスミツケでがんばる。しかし黒47まで左上隅が固まれば黒は後手でも注文が通った格好。
 □上辺をさらに広げられては苦しくなるので、白48,50のツケヒキは逃せぬところ。左方の黒一団は堅いのでさらに固めても惜しくない、という判断。白17-Hの切りは現段階では黒17-Gアテ白18-Hノビ黒18-Jサガリからまくって攻めあいは黒勝ち。しかし味が悪いのは確かで、後に(白96ツギがきた時)ここが勝負のあやとなる。
 □黒53ツケからの右下隅白模様への打ち込みは黒67まで双方いっぱいのつばぜりあい。
 □白70には12-Qのナラビで一手かけるのが本手だが、小西は黒71一本で間に合わせ(つまり黒はここに借金残り)、黒73と下辺に突入。
 □白は76から82と黒の形を崩しながら自陣を補強し白84のサガリにまわっては好調な展開。黒は87と一手かけてもまだ根無し草。白に寄り付きを狙われている。
 □白88のブツカリが疑問。単に白90なら、後で12-Qの出切りが成立するので手厚い。実利でも5目違った。ここで黒わずかにリード。
 □白96のツギが実利と厚みの双方でばかでかい。対する黒99のトビは黒を補強しながら白の薄みを狙った手だが、ここでは18-Kのコスミで白124の切りを防いだほうがまさった。つまり白96と黒99の交換がこの一局の勝敗を左右したことになる。
 □というのは白はまず白104〜116で先手で上辺の白地を補強、更に白118〜黒123と準備工作をした上でしろ124の切りを決行、白128まで黒一子をかかえては形勢はフリダシに戻った。
 □黒129、白130、黒131と互いに一歩もひかない強手の応酬だが白134からの出切りに黒139とここに黒一手をかけなければならないようでは中央の戦いは白優勢、白156と3子を抜いては白の勝利が確定した。
 □蛇足だが黒201トビに白202ツケは負ければ敗着となる一手。黒203では黒18-Kハネダシが成立した。白19-Jと遮るのは黒18-Lで黒17-Kツギと黒17-Mの出が見合いとなり、どうしても白地を破った黒は左上墨か中央の黒と連絡を果してしまうのだから怖かった。

 


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2005年12月04日

第53期王座戦五番勝負第2局2005.11.21 △張栩王座 対 ▲山下敬吾天元 白中押し勝








 □黒1、3、D-14は山下が得意とする布陣。張はすかさず白4とカカり、その構えを封じた。以下黒9まで、白は先手で切り上げて白10とアキ隅を占める作戦を採った。
 □黒11のハサミは当然。いきなり戦闘開始の雰囲気が漂ったが、黒13に対し白は白14のツケでアッサリと手を打った。白14は低いうえに、黒から手を付けられるのが気がかりで、普通は白F-13と戦っていくところ。それで、不利は考えられないが張の好みの進行ではないのだろう。局後、控え室に姿をあらわした王座に、新聞解説の大矢浩一九段が「白14は研究済み?」と問うと、「まあ、その場で考えました」と笑って答えた。考慮時間は2分だった。
 □黒15〜白18は、上辺から右辺の黒と、下辺から右辺の白の模様の張り合い。
 □黒は、黒19〜白32まで、先手で下辺の白を荒らした。利かしといったところ。
 □なにげない黒33白34に対して検討陣から非難の声が相次いだ。この交換がなければ、黒G-12一間飛びが加わったときに黒C-12の押さえが利いて左辺の白が破れるため、上辺での白の打ち方が制限される。
 □しかし黒は、黒35〜39まで上辺の模様を広げて勢いがよく、控室には黒乗りの声もあがったが...。
 □黒が黒41、43と模様を固めようとするのに対して、白も白42そして白44と荒らしにきた。怖い手である。
 □というのは黒45が正面から迎え撃った一着であるが、いかに血気さかんな山下流といえどもこれは打ちすぎだったようで、結果論から言えば敗着になった。ここは自重して、黒Q-17ヒキか黒L-15フクラミとする(参考図A黒45〜白52が一例だがこれは互角であろう、という)ところだったようだ。

 参考図A







 □つまり白46ハネがピタリとはまり、黒47ヒキと謝るしかないのはつらいのだ。黒J-15と切って戦いたいがそれは参考図B黒47〜白62まで黒地を荒らされ黒悪い。続いて黒63には白64以下68まで筋に入ってぴったりと取られて生きられ黒最悪である。

 参考図B







 □山下は黒49から51と力の出しどころを求めていく。白52で白54に押さえればその下J-13(白56のところ)に切って戦おうということである。
 □だが白はそれ(上記J-13の切り)を見越して白52。黒53と換わればN-16のアテなど上辺にさまざまな利きが生じていて、J-13(白56のところ)の切りにはK-12(黒57)のカケで応じることができる。
 □ならば黒53でN-17(黒59のところ)アテとカカえJ-13の切り(白56のところ)を強調するのはどうか?対戦者が終局後の感想戦で示したのが参考図C黒53〜白92。右上は元々黒地のところ。白92までとなれば白H-17コスミツケから中央黒を切り離す嫌味も残り白十分打てる。

 参考図C








 □白60と飛んで一段落。白の張が存分に打ちまわし、黒にチャンスを与えない。
 □白68ではK-5(黒69のところ)のノビが普通の手だが、これが張一流の地の辛さ。黒からS-9サガリとの差でばかでかい。徹底的に黒地を稼ぎ、中央はシノげるという判断である。
 □こうなっては黒73を利かして外を厚くして、中央への寄り付きに勝負を賭けるしかない。
 □黒77は白に謝らせるならD-12(白78のところ)のツギで利かすよりも働いている。いきおい白78から左辺の治まり具合を巡るコウ争いが始まった。
 □白88が「コウ材であると同時に、コウを解消するような絶好手」(新聞解説大矢浩一九段)だった。黒91まで取られて大変なモチコミだが、白92まで決まりがついてしまえばもはや戦う場所がなく、形勢もハッキリした。白96が最後の決め手となった。

 

posted by 蔵山車理恵蔵 at 00:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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